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広貫堂
売薬さん
売薬さん
「富山のくすり」とは切っても切り離せない「売薬さん」。
売薬さんたちは様々な薬を入れた大きな柳行李を背負い、寒村僻地を含む全国に薬を届けていました。たいへんな忍耐を必要とする仕事ですが、それを支えていたのは、人々の健康に奉仕することが仏に仕える道でもあるという、富山の売薬さんならではの信仰心と使命感でした。
売薬さんの役割は、単に薬を販売するだけに留まりません。
■ 健康管理のアドバイザー
お得意先を訪問するとき、「懸場帳(かけばちょう)」という帳簿にどんな薬がどのぐらい使われたかを記録します。「懸場帳」はお得意先のデータベースであり、その家の人たちの健康状態の記録としても活用されます。売薬さんは「懸場帳」を見ながら、それぞれのお客さんに合った薬を補充し、健康管理に対するアドバイスもしてきました。
■ 情報伝達
全国を旅して得たさまざまな情報を届けていました。
特に、江戸後期から昭和にかけてのおよそ100年間、越中売薬必携の人気おまけであった紙風船と売薬版画が挙げられます。中でも鮮やかな色刷りで人の心を躍らせる不思議な魅力を持つ売薬版画は、浮世絵の影響を受けながらも、護符や暦などの実用性を備えたものもあり、都市の文化や情報を地方に伝えるメディアとしても重宝されました。
このような売薬さんならではのサービス精神は、とやまの薬を庶民の暮らしに自然と根ざすのに重要な役割を果たしました。